2002.1.5 |
イギリスにおいてアスベストの使用はもはや禁止されたとはいえ、イギリス労働組合会議(TUC)では、約140万の商業用および住宅用の建物に今なおこの致死的な物質を含んでいると推計している。 アスベストは毎年4千人の人々を殺しており、TUCは―不必要なアスベスト曝露によるこれ以上の死を防止することを願って―今日(3月30日)開始される、イギリスで初めてのインターネットによる全国アスベスト登録を後援し、同時に、政府に対して、雇用主と所有者に建物のアスベストを調査して公に登録することを求めるよう、要求している。 今日TUC本部で、新しいデータベースAsbestos Register.comの開始式典が行われる。この非営利のドット・コムは、インターネットでアクセスすることができ、やがてはイギリスにおけるこの致死的な物質を含有した建物のリストをつくることをめざしている。 TUCとAsbestosRegister.comが収集した新たな数字によれば、イギリスにおける商業用建築物の約85%(約85万のビル)が今なおこの致死的な繊維を含んでいるものと推定される。アスベストはまた、1945年から1980年に建築された共同住宅(フラット)の73%(40万ユニット)および1985年以前に建築されたほとんどの住宅に、アスベストが潜んでいる。1900年から1985年の間に、およそ600万トンのアスベストがイギリスに輸入されたが、そのほとんどが建物の建設に使用された。 所有者にその建物のアスベストの記録の保存を要求する規則がいまだ存在しないために、建築業者が住宅、フラット、店舗または事務所の改修築を行おうとする時にはいつでも、その建物が安全でアスベストがないかどうかを知る術がない。詳細な情報を与えられないまま、建築業者が無意識のうちにこの致死的な繊維をかき乱し、自らの生命を大いに脅かす状況に曝露する可能性があるということを、TUCは問題にしてきた。消防士もまた、火災がアスベストを大気中に発散させる可能性のある建物内に、いつものように入らなければならなかった。 しかし今後は、開発業者、建物鑑定士、建築業者、そして緊急通報を受けた消防士でも、パソコンや携帯電話でAsbestosRegister.comにログオンすることによって、これから作業に取りかかろうとする建物、あるいはこれから消火活動を行う建物が、アスベスト登録してあるかどうかを即座に確認することができるようになる。 今年後半に、公的なアスベスト登録を法律上の義務にするよう安全衛生委員会(HSC)を説得できることをTUCは期待しており、AsbestosRegister. comはその義務に適合するTUCの優先権をもつ手段になるだろう。 AsbestosRegister.comでは、建物の所有者または管理者と連絡をとって、彼らにインターネット上でアスベスト情報を提供できるのは誰かと尋ねてみる予定でいる。長期的な目的は、誰でも利用できるアスベスト情報を作り上げることである。 TUC事務局長ジョン・モンクスは、「アスベストによる死亡者数は、目下のところ、衝撃的な毎年4千人で、2020年までに、アスベストはがんの主要な原因となり、毎週200人もの人々が死ぬことになる可能性がある。個々の建物についてアスベストの歴史はほんのわずかしか知られていないため、建築業者が修改築作業をはじめるとき、あるいは消防士が燃えている建物に入るときは常に、彼らはその生命をリスクにさらしているのである。 「アスベスト関連疾患に罹患した人々は、しばしば長期間、じわじわと、痛みにさいなまれる死を迎える。これ以上の死は防ぐことができるが、それは、どのあたりにこの致死的な繊維があるのかに関する内容のある、信頼できる情報が存在する場合にのみ可能なことである。この新しいデータベースは、これ以上に労働者が不必要に死ぬのを救うために、まさに必要なことである」。 AsbestosRegister.comの考案者ロス・ユードルは語る。「建物内のアスベストは、特別な解決策を必要とする特別なリスクである。AsbestosRegister. comは、アスベスト情報を蓄積・提供するのに、最も安価な、最も容易な、最も信頼できる方法である。」 *****
コロラド州フォートモーガン 4月16日―コロラド州の高等学校の生徒、教職員をアスベストに曝露させた罪で、2名の男が逮捕された。 テキサス州ヒューストンのダニエル・アーギルおよびワイオミング州シャイアンのデヴィッド・バッカスが、4月6日逮捕され、フォートモーガンの高等学校において生徒や教職員を故意に危険にさらしたとして告発された。被告らは、不適切な校舎のアスベスト除去工事を行い、また、アスベスト繊維に汚染されていることを知りながら、生徒や教職員が建物に戻るのを許したとされている。 アスベスト繊維の吸入は、肺がんや石綿肺として知られる肺疾患、胸腔・腹腔のがんである中皮腫の原因となることが知られている。 アーギルは、ナショナル・サービス・クリーニング・コーポレーションに雇用され、フォートモーガン高校アスベスト除去工事の監督者であり、バッカスは、スティーブ・ヒーロン・アソシエイツに雇用され、同校のアスベスト清掃作業の監督に当たっていた。 両者は、虚偽報告および文書偽造という大気清浄化法違反などの数多くの連邦法違反でも告発されている。有罪とされた場合には、各被告は、故意に危険にさらしたこと1件につき最高15年の懲役および/または最高100万ドルの罰金、他の起訴事項1件につき最高5年の懲役および/または最高25万ドルの罰金を課せられることになる。 この事件は、連邦環境保護庁(EPA)刑事調査部、国税庁およびEPA全国執行調査センターの援助のもとに移民帰化局が調査に当たり、連邦法務局デンバー事務所が起訴を行った。 * http://ens.lycos.com/ens/apr2001/2001L-04-16-09.htmlで入手可。 *****
ソウル市内の地下鉄駅舎建物に、人体に致命的なアスベスト材料が使われ、内部の修理工事過程に空気中に飛散し、作業労働者、地下鉄役務員はもちろん、利用する多くの市民が石綿汚染にさらされていることがわかった。 ソウル環境運動連合は4月24日、「去る2月10日から3月末まで、ソウル地下鉄の忠武路駅・市庁駅・江南駅等4か所の建築資材などを採取し調査した結果、市庁駅でアモサイトが検出されるなど、アスベスト使用の事実がわかった」と明らかにした。 ソウル市はこの間「地下鉄にはアスベストがない」と主張してきた。今回の調査は環境連合がソウル地下鉄公社労働組合と源進労働環境健康研究所、江南・西草環境運動連合などと共同で進めた。これに関連し、ソウル地下鉄公社所職員A(55歳)さんが昨年5月、アスベストによる肺がんで職業病認定を受け、現在闘病中であることが確認された。 環境連合は、「今回の調査結果は、工事現場で防護服も着ないまま勤務してきた労働者たちが、長時間アスベストにさらされたことを示すもの」であり、「毎日地下鉄を利用する市民も曝露する可能性が高い」と話した。 ソウル地下鉄公社側は、1999年から1〜4号線の駅舎95か所について冷暖房工事に着手し、今まで42か所の工事を行い、この過程で施工会社が、アスベストが含まれた一部資材を特別な措置なしに扱ったため、駅舎内に飛散したと地下鉄労組側は明らかにした。工事過程で発生したアスベスト廃棄物を一般ごみと混ぜて処理している事実も、「ハンギョレ新聞」の現場取材の結果確認された。 ソウル地下鉄公社は、「工事中、現場にビニール遮断幕を設置したので、工事場の外にはアスベストは漏れ出なかった」とし、「地下鉄駅で発見されたというアスベストは、大気中に浮遊しているものが駅舎内に流入する空気を通じて入ったものと推定される」と釈明した。 *****
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