2001.2.25

安全センター情報


1998年10月号




イギリスはアスベスト禁止に向け一歩踏み出した


Rory O'Neill, Hazards/WHIN, U.K., 1998.8.18



イギリスの安全衛生委員会(HSC)は今日(8月18日)、クリソタイル(白)アスベストの輸入、供給及び使用の禁止に向けた最初のステップを踏み出した。

HSCは、「適切な代替物質がいまだ開発されていない欠かせない用途」向けのごくわずかな例外を除き、「クリソタイル・アスベストのすべての使用の禁止が提案」されるべきであると発表した。
諮問(consultation)は9月中旬に開始され、3か月間が予定されている。 HSCの禁止に向けた動きを詳述したプレス・リリースの内容は別掲のとおり。
諮問文書(consultation document)は9月中旬に、HSCのウエブサイトで入手可能になる予定。
http://www.open.gov.uk/hse/conducs/
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HSCは白アスベストの輸入、供給及び使用のさらなる制限に関する諮問文書の発行を決定


HSC Press Release, C37:98 18 August 1998, U.K.



安全衛生委員会(HSC: Health and Safety Commission)は本日(8月18日)、クリソタイル(白アスベスト)の輸入、供給及び使用をさらに制限するという規則提案を述べた諮問文書を発行することで合意した。
諮問文書では、適切な代替物質がいまだ開発されていない欠かせない用途向けのごくわずかな例外を除き、クリソタイル・アスベストのすべての使用を禁止することを提案する。この提案は、合理的に実行可能な曝露を予防する現行の法的義務を強化するものである。
HSCの決定は、一般に使用されるアスベスト代替品のほとんどはクリソタイルよりも安全であるとの結論を下した、保健省(Department of Health)の発がん性に関する委員会の見解を受けたものである。この見解は7月17日に発行され、7月21日のHSCのミーティングにおいて報告された。
諮問文書は9月中旬には入手可能となる予定で、諮問期間は3か月間の予定である。 7月31日に諮問期間を終了した、1987年のアスベスト作業管理規則および1983年のアスベスト(免許)規則を強化する提案と一体となって、この提案は、アスベスト関連疾患の将来の可能性を大いに減少させることになるものと、HSCは信ずる。
保健省の発がん性に関する委員会の見解を考慮すれば、安全衛生局(HSE: Health and Safety Executive)は速やかに、より安全な代替製品の有用性を公表することになるだろう。HSEはまた、合理的に実行可能な場合に雇用主にノン・アスベスト製品への代替化を求めている、アスベスト作業管理規則8(1A)条の履行を確保するための実効性のある施行政策を追求することになる。

編集者への注記

1 諮問文書およびそのサマリーは9月中旬に入手可能になる予定である。HSEのウエブサイト上でも発行される。
http://open.gov.uk/hse/condocs/
2 アスベスト作業管理規則8(1A)条は、実行可能な場合には、リスクを引き起こさないあるいはアスベストよりもリスクの低い代替物質に代替することにより、アスベスト曝露の防止を実施することを要求している。
3 雇用主、製造者および供給者に対する、この規則に適合した代替化の原則、アスベスト代替物質およびその適切な使用に関する情報は、秋に入手可能になる予定である。
4 クロシドライト(青アスベスト)の輸入は1972年に、アモサイト(茶アスベスト)は1980年に禁止されている。1992年のアスベスト(禁止)規則のもとで、これらの使用、供給および流通も禁止された。しかしながら、建設や保全労働者たちは、建築物の断熱材の除去作業、解体作業、以前使用されていた産業用地や施設、防火ドア、屋根材の清掃作業の中で、これらに今なお曝露している。
5 アスベスト繊維は皮膚からは吸入されず、人間のからだは偶然に食物や飲料に混じって摂取してしまった繊維は自然に排泄する。しかし、ごく小さな繊維は呼吸で吸入され、肺の奥の部分にまで到達してしまうことができる。それらはその場に長期間残留し、その一部は肺の内層にまで作用を及ぼす。発症するまでに40年間もかかることもある疾病には、アスベスト肺あるいは肺の繊維(瘢痕)化、肺がんおよび中皮腫(胸壁あるいは腹腔の中皮のがん)を含む。アスベスト関連疾患の治療法はない。
6 保健省の発がん性に関する委員会の見解はインターネット上の保健省のホームページで入手可能である。(ウエブサイト: http://www.open.gov.uk/doh/coc.htm)
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イギリスにおけるアスベスト禁止の例外


Laurie Allen, British Asbestos Newsletter, 1998.8.21


国内における(アスベスト)禁止の例外について聞かれたので、Liz J.に聞いてみた。以下は彼女の回答である。
× × ×
諮問のなかで示されるであろう除外製品は以下のとおり。
車両用ブレーキ・ライニング(指令 70/156/EEC(a)第2条で定義される車両用)、クロロ-アルキル製造用電解槽に使用される隔膜(dia-phragms)、高圧アセチレン・ガスの保管のために使用される容器(receptacle)、乾燥状態で密度が1,900k/m3超で50℃以上の温度下で使用されるシート(sheet)、飽和蒸気(saturated steam)、過熱蒸気(superheated steam)または1994年の化学物質(危険性情報および供給用包装)規則(a)第4条によって分類して危険性、腐食性、有毒性、可燃性または高度の可燃性のカテゴリーに該当する物質とともに使用される圧縮アスベスト繊維ガスケット。A)ロータリー・バキューム・ポンプ(回転真空ポンプ)の羽根(vane)、B)ロータリー・コンプレッサー(回転圧縮機)の羽根またはC)ベアリング(軸受け)またはそのハウジング(覆い)に使用されるフェノル-ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂とアスベストの混合物からなる製品。安全な操縦のために必要な飛行機またはヘリコプターの部品(component)。
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カナダ政府の提訴に関するWTOの回答


Rory O'neill, WHIN/Hazards, U.K., 1998.8.19




以下のコメントは、WTOの広報室の Luis Ople から本日(8月18日)届けられたものである。私は、カナダ政府のアスベスト問題の提訴の当否を評価するために、WTOがかかえている専門家全員の氏名と所属を明らかにするよう要求している。
× × ×
返事が遅れて申しわけない。1か月ほどマニラに行っていて、文字どおりちょうど飛行機を降りてきたところだ。 アスベスト・ケースに関する状況は以下のとおり。
カナダは1998年5月28日に、WTOの紛争解決機関(DSB: Dispute Settlement Body)に、ECのアスベストおよびアスベスト製品の禁止がもたらす制限に関する欧州委員会(European Commission)との協議を求めると通告した(WT/DS135、別添)。
この要求は、フランスによって、とくに1996年12月の24日の、輸入の禁止を含むアスベストおよびアスベスト含有製品の禁止に関する命令によって課せられたという制限に関するものである。カナダは、この制限は、 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS)第2、3および5条、貿易の技術的障壁に関する協定(TBT)第2条および1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第U、XIおよびXV条を侵害するものであると主張している。カナダはまた、引用された多数の協定のもとで生じる利益の無効化および侵害を主張している。
この問題はまだ協議中である。60日間の両者間協議によって解決策がみつけられない場合には、カナダは、提訴を審査するための紛争解決小委員会(パネル)の設置を要求することができる。
あなたからの他の質問に関しては、一定のケースでは、WTOの紛争解決小委員会(パネル)は専門家から情報を求めることになる。もっとも直近の例としては、肉のホルモンのケース(アメリカ/カナダとECの間の紛争)がある。この小委員会の報告書はWTOのウエブサイトでみることができる。
* Rory O'neill から Luis Ople 宛ての8月4日付けの質問および8月12日付けの催促の手紙が添付されている。
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欧州共同体―アスベストおよびアスベスト含有製品の制限カナダによる協議の要求


WTO, WT/DS135/1, G/SPS/GEN/72, G/TBT/D/15, 3 June 1998



以下の1998年5月28日付けの、カナダの常駐使節からの欧州委員会(European Commis-sion)の常駐代表および紛争解決機関(DSB: Dispute Settlement Body)に対する要求は、DSU協定第4.4条にしたがって回覧される。
× × ×

1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT: General Agreement on Tariffs and Trade)第XXU条、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS: Application of Sanitary and Phytosanitary Measures)第11条および貿易の技術的障壁に関する協定(TBT: Agreement on Technical Barriers to Trade)第14条にしたがって、カナダ政府は、アスベストおよびアスベスト含有製品を禁止するためにフランスによって課せられた制限措置に関して、欧州委員会(Eu-ropean Commission)との協議を要求する。これらの制限措置は、労働法典および消費者法典にしたがって、修正として発行されたアスベストを禁止する1996年12月24日の命令 No.96-1133に含まれるが、それだけに限定されるものではない。
この命令は、他の事柄のなかで、すべての種類のアスベスト繊維およびアスベスト繊維を含有するすべての製品の、製造、加工、輸入、国内市場における流通、販売するための所有、あらゆる場所での提供、販売または譲渡、を禁止している。カナダ政府は、これらの制限は上述の協定の他の諸条項のなかで以下の条文を侵害するものであるから、上述の協定のもとでのフランスの責任と相いれないものであると主張する。

(1) 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS)
第2、3および5条
(2)貿易の技術的障壁に関する協定(TBT)
第2条
(3)1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第U、XIおよびXV条 そのうえこの制限は、これらの協定のもとでカナダが得るべき利益を無効化ないし侵害している。
紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU: Understanding on Rules and Proce-dures Governing the Settlement of Disputes)第4条にしたがって、カナダ政府は、相互に満足できる結果にいたることをめざして欧州共同体(European Communities)との協議を要求する。カナダ政府は、協議を行う日程に関する欧州共同体からのいかなる提案も尊重する。
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カナダ政府の進退きわまった闘い


Rory O'neill, WHIN/Hazards, U.K., 1998.8.19


カナダ政府の閣僚たちは、イギリスが昨日(8月18日)、アスベスト関連疾患の流行に対処する努力のひとつとして禁止に向けた第一歩を踏み出した後、イギリスの首相トビー・ブレアに対して「クリソタイル・アスベストの使用を支持する」ようせきたてている。

イギリスの安全衛生委員会(HSC: Health and Safety Commission)は、何か月以上もカナダおよび他の科学的証拠についてレビューした結果、この提案が「将来のアスベスト関連疾患の可能性を大いに減少させるだろう」とした。 この提案は、「適切な代替物質がいまだ開発されていない欠かせない用途向けのごくわずかな例外を除き、クリソタイルのすべての使用を禁止する」ことを含んでいる。クリソタイルまたは白アスベストは、イギリスにおいて今なお使用が認められている唯一の種類の(アスベスト)繊維である。禁止に向けてHSCは、その強制力に関して、安全衛生委員会はいま「速やかにより安全な代替製品の有用性を公表することになるだろう」と言っている。 さらに禁止を先取りした取り組みとして、イギリスの安全執行機関はただちに、実行可能な場合にアスベスト製品からより安全な代替品への代替化の履行を確保するための「実効性のある施行施策を追求」することになるだろう。

カナダの国際貿易大臣 Sergio Marchi は、カナダ政府は「これらの諮問が、カナダのアスベストのイギリスあるいは他のヨーロッパの市場へのアクセスを減少させるような、不必要な抑制政策につながるのではないかと懸念している」と語った。
今年はじめに、Marchi のスポークスパーソンはWHIN誌に対して、カナダの関心はヨーロッパをこえていて、閣僚たちは、アスベストの輸入が年々7%ずつ増加している開発途上国の主要な市場への「ドミノ現象」を心配しているのだと述べていた。
イギリス政府の禁止に向けた動きは、労働組合会議(TUC)およびキャンペーン活動家たちに歓迎されている。TUC事務局長の John Monks は、「死亡者数は確実に次の世紀まで上昇し続けるだろう。しかし、われわれは少なくともアスベスト関連疾患の災禍が終末を迎えつつあることを知っている」と語った。

通常の協議の手順を無視して、カナダ首相 Jean Chretien はトニーブレア首相に、カナダの2億2,400万ドル(およそ1億ポンド)のアスベスト産業を守るためのカナダの事情を説明した手紙を書いた。大部分のアスベスト鉱山は、州の独立を追求する人々を懐柔するために Chretien の連邦政府が気を使っている、ケベックという政治的にセンシティブな州に存在する。

Chretien は、昨年夏のオタワでのG8サミット以来、ブレアに対してしばしば個人的なアプローチを試みてきた。彼がトニー・ブレアに、報復的な貿易上の措置の可能性を思い出させたことはよく知られている。今年3月、HSCがアスベストの禁止について公式に諮問しようとした前回の企ての直前に、カナダ当局は合法的に輸入されたイギリスの牛肉を大量に没収し、だいなしにした。

ロンドンのカナダ高等弁務官 Terry Block-sidge はWHIN誌に対して、カナダ政府は当面、報復的な貿易制限について考慮していないと語った。「われわれは、現段階(における行動)については議論していない。これをたんなる諮問手続として注目している」。彼は、イギリス政府が、白アスベストの使用を守るためのカナダの科学的論拠を吟味することを期待している、と付け加えた。

カナダ政府はケベックの分離主義者の動きを懐柔しようとしているのかとの質問に対して、Blocksidge 氏は、「それは関係ない。適切に管理された状況で使用されれば代替物質よりも安全な物質に関する自由貿易の問題だ」と語った。
イギリスのHSCでは、それ(上記の期待)は、「一般に使用されるアスベスト代替品のほとんどはクリソタイルよりも安全であるとの結論を下した」保健省の研究によって行われていると言っている。

アスベスト疾患は、毎年のイギリスにおける3,000名をこす死亡者数の原因となっている。2020年までには、これは毎年10,000名以上程度にまで上昇することをHSEの研究が示している。
イギリスにおける死亡者の大部分は、規制の不十分な建設および保全作業で働いていた人々である。評論家たちは、カナダによる証拠はより容易に管理された製造業および鉱業に関するものに集中していると言っている。
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EU規模でのアスベスト禁止に向けた準備始動


Rory O'neill, WHIN/Hazards, U.K., 1998.8.26



デンマークの一般労働組合SIDの Lars Veds-mand が以下に紹介した Reutersのレポートを知らせてくれた。…欧州委員会(European Com-mission)は、欧州連合(EU)規模での白アスベスト禁止のための提案の草案を準備している。 Reutersの意見は完全には正確ではない。…ギリシャ、スペインおよびポルトガルは禁止に反対はしておらず、おそらく影響を受ける産業のための金銭的緩和措置(cash cushion)のようなものに、関心を向けるべきことを主張しているのである。 またWTOのある関係者は、カナダは7月8日のWTOの紛争解決手続の場で理解を失ったと言っている。彼らの代表は、カナダの提訴を擁護するための基本的な質問にさえ満足に回答することができなかったという。
× × ×

ブリュッセル、8月20日(Reuters)―欧州委員会(European Commission)は欧州連合(EU)の15か国すべてにおいてクリソタイルまたは「白」アスベストを禁止する法律を起草中であると、ある指導的な立場の関係者は語った。
「委員会は…ヨーロッパ規模でクリソタイル・アスベストおよびアスベスト含有製品の流通および使用を禁止する提案の草案を準備中である…」と産業界代表委員(industrial commission-er)の Martin Bangemann は、欧州議会(Euro-pean Parliament)のメンバーの質問に対する7月24日付けの回答のなかで言っている。
彼のコメントは、関係機関の8月の夏休み中に委員会によって発行された。

Bangemann は、14種類の白アスベストを含有した製品がすでにEUの法律によって禁止され、また、9か国がすでに一方的な禁止措置を導入していることに言及した。 「このことは(EU)域内市場の重大な分裂を示しており、また、(EU)レベルでの解決が求められている」、とBangemann は言っている。 イギリスも火曜日に禁止を検討していると発表して、EUでのもっとも新しい国となった。イギリスの安全衛生委員会(HSC)は、そのような禁止を2001年に導入することについて関係グループとの協議を開始すると言っている。

その耐火性から1960年代から70年代にかけて広範囲に建築物に使用された繊維状物質である青および茶アスベストは、それらが肺がんその他の呼吸器傷害を引き起こすという証拠によって、すでにEU中で禁止されている。 カナダのEU使節のスポークスマンは木曜日に、事態の進展を注視していると語った。
カナダは、ロシアに次ぐ、世界第2位の白アスベストの産出国である。他の主要な生産国は、ブラジル、南アフリカ、スワジランド、ジンバブエ。

5月にカナダは、1997年1月1日に導入されたフランスのクリソタイル・アスベスト禁止措置に挑戦するため、世界貿易機関に提訴した。

フランスはカナダの製品の大きな市場であり、建設産業やブレーキ・パッドに使用されていた。 「われわれは欧州委員会における状況について確かに知っている」、カナダのスポークスマンは、「われわれは何が起きているかフォローし続ける」と語った。
「異なった見解が存在し、彼らは共通のひとつの見解にまとめようとしているようにみえる」と、彼は、Bangemann 自身が、禁止は達成すべき課題として残っており、過去意見が分かれていたEUメンバー諸国で協議しなければならない課題だと言っていることに言及して、付け加えた。

4月のEUの社会問題閣僚会議においては、ギリシャ、スペインおよびポルトガルが全面的な禁止に反対を表明した。
Bangemann は回答のなかで、委員会の最終的な提案は「いくつかの例外と臨時措置」を含むだろうとしている。
カナダのスポークスマンは、WTOの紛争解決手続のうちのフランスとの協議の第1ラウンドはすでに7月8日に実施されたと付け加えた。EUの当局者もまたその会合に出席したと、彼は言った。

「意見交換の結果、再度会合することになった」と彼は言ったが、今後の議論の見通しに関する情報は明らかにしなかった。 WTOのルールのもとでは、60日間の当事国政府間での協議の後に、提訴国は、その結論が関係国を拘束することになる紛争解決小委員会(パネル)の設置をWTOに要求することができる。
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カナダは有害な経済への道をひた走る


Rory O'neill, WHIN/Hazards, U.K., 1998.8.27



危険な物質の貿易に関してへまをして矛盾した行動をとっているカナダ政府は、健康への関心を第一とせず、しばしば貿易上の利害だけを優先して、産業界の販売戦略と一緒になって地球上に「有害な経済(toxic economy)」を創設するための恫喝を行っている。
カナダは2つの国際貿易紛争のセンターになっている。多くの国々が扱うのに危険すぎると決定しているにもかかわらず、ケベックで採掘したアスベストを世界中に輸出することを求めている。 一方でカナダ政府は、健康リスクがあまりにも大きいという理由で、マンガン混合物の輸入の禁止を求めているのである。
両者に共通していることは―国内および海外でカナダ政府をきわめて困った状態に陥らせていることである。
カナダ政府は、欧州連合(EU)全体の白アスベスト禁止に向けた動きをさえぎるために激しく闘ってきた。

3月には、欧州連合のなかですでにアスベスト禁止を導入した9つの国のひとつであるフランスに対抗する提訴を開始した。しかし、EUの官僚たちはいまでは、カナダ政府のアスベスト擁護キャンペーンはケベック以外の州における大きな怒りを引き起こしたと言っている。

EUの情報筋は今週、WHIN誌に対して、各州は「このWTO問題は他の貿易上の問題をもたらすかもしれないというダメージについて理解しはじめている」と語った。

カナダ連邦政府はすでに、今月はじめに、危険な物質の輸入を妨げようとして、他の有害物質の貿易問題で墓穴を掘って報いを受けている。 パーキンソニズムと関連した神経毒性や他の健康影響のあるマンガンを含有した燃料添加物MMTの輸入をカナダが禁止したことは、アメリカの添加剤製造業者 Ethyl Corporation が、推定1億6千万ポンドの損害の可能性についてカナダ政府を提訴することを決定した後、撤回させられた。

この会社は、販売の制限は、北米自由貿易協定(NAFTA: North American Free Trade Agreement)のもとにおける自由貿易原則違反であると主張した。カナダの納税者には、800万ポンドをこえる法的請求書をどうするかということが残された。
そのように、2つのへまをしたキャンペーンによって、カナダ政府は世界の有害な産業が自由貿易というカードをいかに利用するかということを示したことになる。(有害な産業に)処罰されることなく人に被害を与え、有害物質を売り歩くことができると思わせ、また、新たな有害な経済のなかでは安全性は足かせを除かれた自由貿易のバック・シートにおかれると思わせたことで、カナダ政府は感謝されるだろう。
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